図解:デフレとインフレ

均衡価格(需給バランス)

ところが1個50円で売るお店が現れたとします。お客さんはたくさん来ますが一時的なセールに終わるでしょう。一方キャベツ1個1,000円で売るお店があったとします。これでは誰も買ってくれないでしょう。

一方買おうとする人たち( 需要量)よりも売ろうとするキャベツの量(供給量)が少ないと,キャベツが足りなくなるのでキャベツ価格は上がります。
この需要曲線と供給曲線が交わったところが均衡価格、キャベツ1個100円となります。
デフレとインフレ

つまりモノが売れなくなり、企業は赤字となり、従業員の給与がカットされます。物価も下がるのであまり問題が無いように思えますが、働く人たちは給与が下がると慎重になり出費を控えます。企業も赤字なので設備投資を控えます。こうなるとだんだん供給も減り、需要ももっと減ってゆくという負のスパイラルに陥ります。
このことを「おカネ」の側からみると、左の図から分かるように、一個100円のキャベツが、同じ百円で2個買える、つまりお金の価値が上がるので、人々はモノよりもカネを欲しがり、先行き不安からおカネを貯めようとします。企業も内部留保(貯蓄)を増やすようになります。 また今後さらにお金の価値が上がっていくことが予想されるので、大きな借金をして家を建てるようなことも控えるようになるでしょう。その借金は返済するときの方が借りたときよりも実質的に膨らんでいることが予想されるからです。

インフレとは、モノの需要が伸びて、とても良く売れる状態です。供給がおぼつかなくなるので、機械や工場を増やし設備投資をします。従業員の給与も上がっていきますから、消費も増えてゆきます。
このことを「おカネ」の面からみると左の図のように、1個100円のキャベツを200円出しても買いたい状態ですから、人々はカネよりもモノを欲しがります。つまりおカネの価値が下がっていきますから、家や車のローンを組んでも、その借金は実質上軽くなってゆきます。同様に企業も銀行から借金して、事業を拡大しようとするでしょう。
このように物価が持続的に上昇し、おカネの価値が下がっていくことをインフレと言い、経済成長は、このインフレを前提にしています。
注意すべき事
このように適度なインフレは経済成長にとって好ましいことなのですが、かつてのバブル期のように、身の丈以上のおカネを借りまくり、土地を買いあさり、ついにはリスクの高い資産にまで手を出した挙句、バブルの終焉を迎えるという苦い経験をしてきました。政府は、過度なインフレは警戒しつつ、デフレにも陥らないような政策をとって、国民経済をリードしてゆく責任があります。
もう一つ注意しなければならないことは、モノの需要によらないインフレもあるということです。1973年第四次中東戦争をきっかけに、アラブ産油国の原油の生産が減らされ、原油を輸入に頼っていた日本経済は、燃料費や材料費が重くのしかかり、物価上昇に巻き込まれました。原油を生産する企業がない日本では、国産原油の需要が拡大しそのことで収益が上がるということが起き得なかったのです。国民の消費は冷え込み、企業は生産を減らし、失業率も上がりました。いわゆるスタグフレーションに陥ったのでした。